外国人雇用の検討に向けて知っておきたいルールとポイント

外国人雇用の検討に向けて知っておきたいルールとポイント

国の試算によると少子高齢化により2065年には総人口が8,808万人に、このうち生産年齢人口は4,529万人になると予測されており、ますます労働力不足になることが数値にも表れています。すでに人手不足が常態化している業種も多く、特に規模の小さい中小企業ほど従業員数の減少が見られます。

今後も一層、人材不足が深刻化の一途をたどるのは必至でしょう。その打開策として、外国人労働者の在留資格政策が新たに実施されました。受け入れ拡大を目指す国の方針に従い、外国人雇用を検討し始めている企業も増加しています。

しかし単なる労働力としての安易な雇用は、トラブルを招きかねません。ここでは外国人を雇用するために把握しておくべきルールと、雇用の際のポイントを解説していきます。

就労可能な外国人とは?

そもそも、外国人が日本に一定期間留まるためには、在留資格(ビザ)が必要となります。ですが、在留資格があれば就労可能、というわけではありません。

在留資格27種類のうち、就労が認められているのは外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習、特定活動の18種類です。このうちのいずれかに該当する外国人は、その在留資格に定められた範囲内での就労が可能となります。一般企業で雇用する主な職種としては、技師や設計、製造スタッフなどの技術系、通訳・講師、調理師などの技能系があります。

また、2019年の4月から人手不足が深刻であるとされる14の分野において、「特定技能」の在留資格発給が認められました。「特定技能」には1号と2号の2種類があり、それぞれ許可される滞在期間が異なります。

一方、就労が認められない在留資格としては、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在などがありますが、資格外活動の許可が得られた場合には留学の在留資格でも1週28時間までの就労が可能となります。アルバイトをしている外国人がその最たる例です。

これらに該当する在留資格を持つ外国人は、その在留資格に該当する範囲で就労が可能です。きちんと確認をしておかなければ後々問題になってしまうため、就労可否に関する知識は外国人雇用において重要です。また、外国人を雇用する際には、雇用する人の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、厚生労働大臣に届け出なければなりません。仮に不法就労が発覚した場合、外国人労働者が強制国外退去などの処分となるだけでなく、雇用した事業主にも罰則が科せられてしまいます。

「技能実習制度」って何?

「技能実習制度」とは技能実習法令で規定されるもので、外国人実習生が先進国の産業や技術を学ぶことを目的としています。そのため、対象者を発展途上国などから受け入れ、技能取得後は自国に戻って活躍することが想定された制度です。

この制度を活用した外国人雇用では、技能実習の適正な実施が前提となっているため、規定が設けられています。例えば、技能実習法により「技能実習強制の禁止」「違約金設定の禁止」「パスポート・在留資格保管の禁止」などがあります。これらは、技能実習生の保護の観点から定められたものであり、事業者側が規定に従っていない場合には、受け入れ停止を含めたペナルティがあります。

技能実習生として外国人を雇用する際には、実習生はあくまで学ぶ立場であること、安い賃金で働かせられる労働者ではないことを十分に理解しておく必要があります。

理解不足によりトラブルとなりやすいのが賃金についてです。外国人も日本人と同等の賃金を支払わなければならないため、地域の最低賃金または産業別最低賃金の高い方に準じた給与設定が不可欠です。時間外や休日労働などの割増賃金についても、日本人従業員と同様の支払いが発生します。また、実習にかかる監理費用を、実習生に負わせてはならないことも規定されています。

このように、制度を利用する前に確認しておくルールがあることを認識する必要があります。

外国人雇用に当たり留意すべきポイント

事業主として外国人雇用の際に注意するべきポイントには、以下のようなものが挙げられます。

  • 在留資格・就労可否について確認する:就労可能な18種類のうちのいずれかに該当していることが必須です。また、雇用後の業務が在留資格の範囲内でなければ違法となってしまうため、在留資格の確認は重要です。
  • 雇用の手続きについて把握する:就労ビザが期限切れになると違法就労になってしまいます。就労ビザの取得に必要な職歴・学歴や期限の確認も欠かせません。
  • 保険、労働条件などを明確にする:雇用保険法、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、健康保険法、厚生年金保険法を順守し、労働者が理解できる言語で明文化して提示する必要があります。
  • 文化の違いについての教育を外国人労働者と受け入れ側の双方に行う:事前に相手側の文化・風習について確認し、生活上の相違などを把握しておく必要があります。事前に理解を深めておくことで防げるトラブルがあります。
  • 労働環境の保全:掲示物を理解しやすいものに変える、宗教上必要とされる設備を整える、評価制度の明確化など、外国人労働者が安心して働ける環境づくりをすることでスムーズに受け入れられます。
  • 日本人従業員と外国人労働者の円滑な関係づくり:交流の場を設けたり一緒に業務に取り組む機会をつくったりするなど、コミュニケーションを自然ととれる雰囲気づくりをするといいでしょう。

事業者はこれらについての理解を深めるために、外国人雇用に関する説明会への参加やコンサルティングの依頼などの努力を行っていく必要があります。また、実際に外国人雇用を行なっている企業の事例を参考にすることで、自社に適した外国人雇用の在り方が見えてくるでしょう。

まとめ

人材不足が厳しさを増すなかで、事業の安定化を図るためにも外国人労働者の受け入れが選択肢に入ってくる企業も増えていくでしょう。過去のように「安価な労働力」ととらえる企業では離職を招き、十分な戦力として確保していくことが困難です。外国人雇用に当たっては、確認すべき項目や必要な手続きを確実にクリアしなければなりません。法令およびコンプライアンス順守のもと、自社の事業運営に対して適切に活用していくことが求められるでしょう。

 

参考: