外国人労働者を雇用するメリットと注意すべきポイント

外国人労働者を雇用するメリットと注意すべきポイント

労働人口減少の解決策として、国を挙げて外国人労働者の受け入れに対する取り組みが加速しています。しかし、単に「安価な労働力」と捉えていると、思わぬコストに悩まされることになるかもしれません。また、受け入れまでにはいくつもの手続きを必要とし、実際に現場に入ってもらうまでに一定の時間が必要です。

そうしたことを考えたとき、外国人労働者の雇用にはどれだけのメリットがあるのでしょうか。ここでは外国人労働者を雇用するメリットや、企業とのマッチング、雇用の注意点について解説していきます。

外国人労働者を雇用するメリット

外国人労働者を雇用することには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは5つご紹介します。

人材不足の改善

若手の優秀人材を確保することが難しくなっている中小企業にとって、外国人労働者の雇用は人材不足の改善につながる大きな希望です。少子高齢化による国内労働力の減少を最重要課題と位置づける政府は、外国人労働者の受け入れについての施策を次々と打ち出しています。

これを受け、多くの企業が外国人雇用に積極的な姿勢を見せ始めています。特に、慢性的な人材不足にあえぐ中小企業での動きは活発化しています。詳細は後述しますが、2018年時点で外国人労働者を雇用する半数以上が「従業員数30人未満」の事業規模となっています。

新しい視点からの業務の見直し

日本国内のみで事業展開する企業では、内部の体制や考え方が硬直化しがちです。しかし、国内市場の縮小や消費者ニーズの変化スピードを考えたとき、これまでのような企業運営が通用しなくなっていくリスクが考えられます。

外国人労働者の雇用により、文化や慣習などの違いから新機軸の視点が得られることは、これからの企業の在り方に貢献する可能性があると言えるでしょう。また、販路拡大や新たなニーズの掘り起こしにつながる気づきを得られるかもしれません。

職場全体の労働環境の改善

外国人を受け入れるにあたって、職場全体の環境やルールを伝えることになります。その際、これまで慣例的に継続していたことが、実は見直すべきかもしれないといった気づきを得るきっかけになるでしょう。外国人にとって働きやすい職場は、日本人従業員にとっても悪いものではないはずです。

また、外国人を受け入れるための変化ではなく、改めて考えるとより効率的な仕組みにできるのではないか、という職場全体への影響を重視した最適化という観点で見直すといいかもしれません。新たな人材の受け入れをきっかけに、隠れていた職場の課題発見につながる可能性もあります。

現場の教育スキル向上

どれほど日本文化に親しんだ外国人でも、日本人同士のように互いの意図を察するようなコミュニケーションは難しいでしょう。新たに雇用された外国人労働者に対しては、日本人採用よりも平易で明確な言葉で業務に関して伝えていく必要があります。

そのためには、教える側が業務内容を十分に理解していることに加えて、わかりやすく伝えるコミュニケーション力も求められる場合があります。何となく分かっていたつもりの業務を言語化しなければならない経験により、既存の従業員の教育スキル向上につながる機会となります。

国内外市場に対する新たな可能性の発見

企業の成長を果たしていくために、外国人をターゲットとした市場にも目を向けたり、海外製品に打ち勝っていったりする必要がでてきています。外国人を受け入れるということは、日本に来て気になる物事や不便に思うことを知る機会になります。何気ない会話から新しい視点を持てれば、次の一手につながる可能性も出てくるでしょう。

また、中小企業の振興政策として、政府は海外進出のサポートを強化しています。そのような流れを活用するという意味でも、国内外に向けた市場へのアプローチには、外国人目線の活用が有効策となります。

外国人労働者を雇用するメリットが大きい企業とは?

外国人労働者は人材不足の大きな助けとなりますが、事業内容や業界によってはマッチングの良好さが異なります。現在の国内における雇用状況をあわせて見ていきましょう。

外国人の雇用状況

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、2017年10月末現在で前年比18%の増加となっています。特徴としては、高度外国人材や留学生の受け入れが進んでいること、また技能実習制度が積極的に活用されていることがあげられます。

国籍別では中国、ベトナム、フィリピンで上位半数を占め、なかでもベトナム人の雇用は対前年比39.7%の増加です。都道府県別では東京が3割強の伸びとなっており、愛知、大阪、神奈川と工業地域の多い大都市圏があとに続きます。事業規模は「30人未満事業所」が事業所全体の57.5%と最も多く、前年同期比14.2%増となっています。

技術・製造・飲食サービス業での受け入れが加速

分野別では、製造業や飲食サービス業での受け入れが顕著です。これは、OJTとして実際に業務に取り組みながら「見て」理解しやすいことや、技術用語には英語圏の言葉が多く理解しやすいことなどがあります。そのため、文化的な背景の違いが障害になりにくいと考えられます。

また、コミュニケーションの取り方を一緒に学べる業種や、IT機器を介して業務のサポートがしやすいオペレーションの仕事などは外国人雇用に向くと言えるでしょう。

外国人労働者雇用に関する注意点

外国人労働者を雇用する際に確認しておくべき注意点は、以下のようなものがあります。

  • 日本人と同水準の賃金が必要
  • 就労ビザ取得費用・渡航費用の負担がある
  • 就労ビザの取得には1~3か月かかる場合がある

例えば、アジア圏からの労働者の場合、渡航費用は5~10万円、就労ビザ取得を専門家に依頼した場合の費用は10~15万円程度です。このほか、雇用主が現地に赴いて面接などする場合には、さらに10万円以上の費用が発生すると考えられます。

外国人雇用についての知識が不足している事業者は、安い労働力として安易に雇用を考えがちです。しかし、進めていくうちに、想定していた以上の費用が発生することに驚くケースが多く見られます。

外国人労働者を企業運営に正しく活用するためには、一般的な日本人の採用を行うときと同様に、自社が求める人物像を明確化し、教育・成長させる意識が必要です。ミスマッチを防ぐためには、実績のあるエージェントを介した募集や、「外国人就労適性試験」の活用などの方法があります。

また、優秀な人材確保を目指すうえでは、「言語」「能力開発」「メンタルサポート」「安全衛生」「宗教・文化」などに配慮する必要があります。特に文化の違いに戸惑いながら働く環境では、語学に通じた専門家や気軽に相談できる相手によるメンタルサポートが重要です。

日本人では分かりにくい「宗教・文化」は、センシティブな面があるため、事前の情報収集と理解しようとする姿勢が大切です。外国人労働者を事業の戦力として望むのであれば、快適に働ける職場環境の整備を進めていくことが求められます。

まとめ

外国人労働者を「安価な労働力」とするのは、誤った考え方です。安易な受け入れは、雇用側・被雇用側、双方のためになりません。本当に欲しい人材を確保するためには、受け入れ側の知識強化と入念な準備が求められます。

 

参考: