ベトナム人技能実習生に選ばれるための仕組みとは

近年、労務費の抑制や不足する労働力を補う、また若い労働力を確保するニーズという観点から国内における外国人採用への潮流が見られるなか、ベトナムから来て日本で働く技能実習生が増え続けています。ベトナム人実習生が安心して日本を行き先に選択できる仕組みを作るためには、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか?その仕組みについて解説していきます。

技能実習生67名の声

日本で働く技能実習生でもっとも多いのは、ベトナム人です。人手不足の解消を目指して政府も外国人の受け入れを拡大できるよう動いています。当社で実施した技能実習生へのアンケート結果から、技能実習生に活躍してもらうヒントを読み解いていきます。

■来日するときに日本での就業に期待していたこと

「お金を稼げる」「日本の技術が身につけられる」「日本語が勉強できる」

■来日するときに日本での就業に関して不安に思っていたこと

「仕事上のコミュニケーション」「配属先がどのようなところか」

■実際に日本で働いてみてギャップに感じたこと

「残業が少ない」「規則がたくさんある」「生活、寮、通勤が不便」「文化やマナーの違い」

■就業先で嬉しかったことや気に入ったこと

「労働環境がいい」「日本人の働き方を学べる」「熱心に教えてくれる」「仕事が楽しい」「給料が安定している」「新しい知識を身につけられる」

■就業先で慣れるまで大変だったこと

「言語の壁」「日本人とのコミュニケーション」「交代制勤務」「同じ作業の繰り返し」「残業がほしい」「一部屋に複数人で住むこと」

■就業先でつらいことや不便に思うこと

「給料が低い」「寮が不便」「上司が厳しい」「夜勤が多いこと」「日本人の性格」

■これから日本で就業しようとしている友人にアドバイスをするとしたら伝えること

「日本語をたくさん勉強すべき」「日本の文化を体験すること」「事前に仕事内容や給与などをしっかり調べること」「目標を持って働くこと」「日本のルールをしっかり守ること」

このように、技能実習生が気にしていることは、日本人が就職先を決めるときに重要視していることと大きく変わりません。外国人だから、という見方をするのではなく、社員が安心して活躍できる環境を整えていくことが重要だと言えるでしょう。

逃走という残念なケース

技能実習制度では、基本的に就業先の変更が不可能となっています。当社が実施したベトナム人実習生を対象にしたアンケート(回答数:67)でも、来日前に不安に感じていたこととして36名が「配属先がどんなところか」と回答しています。

2017年に全国で失踪した技能実習生の半数がベトナムからの実習生だったそうです。これは対岸の火事ではなく、外国人を受け入れている企業ならどこでも起きる可能性があることです。残念ながら、その懸念が不幸にも現実となってしまうケースがあります。いくつか実際にあったことを紹介します。

技能実習生を都合のよい労働力と捉えた企業で、劣悪な環境に住まわせたことが問題となりました。ベトナム人実習生3人が6畳ほどの部屋に住まわされたそうです。室内に発生していたカビを除去してほしいと企業に連絡したときも、適切な対応がなされることはなかったと報告されています。

また、以前は技能実習生を安価な労働力と捉えた企業も少なくなかったようです。最低賃金よりも低い賃金で、長時間の労働を強いたケースも報告されています。その結果、技能実習生が逃走に至ることも少なからず起きています。

事実、2019年10月には、実習先から逃走したベトナム人技能実習生64人が就労資格のないまま人材紹介会社に紹介され、入管難民法違反(不法就労助長)などの疑いで摘発される事件が起こりました。ほかにも逃走した元実習生が食い詰めて万引きに及んだといったように、事件に至ったケースがいくつか報じられています。

いずれも、ベトナム人実習生を受け入れるにあたって守るべき法律やルールを順守していれば防げたかも知れません。正しく受け入れれば戦力として活躍することが見込めるため、ベトナム人に選ばれる仕組みづくりを進めるといいでしょう。

ベトナム人技能実習生が逃げないホワイトな職場とは

ベトナム人技能実習生が逃走することを考えないようなホワイトな職場を作るための効果的な施策としては、業務を離れた場を含めて日本人従業員と交流、親睦を深めることができる環境を整えることがあげられます。

例えば、お菓子を食べながら和気あいあいと楽しく交流する「談話会」、社内有志が講師となってベトナム人技能実習生が無料で参加できる日本語講座、スポーツなどを日本人社員と合同で行うイベントなど、相互理解を深める努力が、これからもベトナム人実習生を円滑に受け入れることにつながります。

当然、労働に見合った賃金の支払いや日本人同様の勤務体系を組むなどの整備が基本です。その上で、アンケートにもあるように、日本人従業員とのコミュニケーションや仕事ぶりを学ぶといったことを求めているため、積極的に関わり合う雰囲気をつくるとよいでしょう。

また、長期的にベトナム人技能実習生を受け入れていく観点から、会社として日本人とベトナム人の間に上下関係が存在しないことを明確にすることも効果的でしょう。こうした取り組みによって、ベトナム人実習生の不安を和らげ、頼れる戦力として期待することができるようになります。

卒業=本国へ帰国ということを意識させる

技能実習制度は時期が来たら帰国してもらうことが制度上の前提となっています。そのため、働きやすい環境を整えるだけでなく、ベトナム人実習生への動機づけとしてゴールを意識させることも有効だと言えます。

ベトナム人実習生は、時として日本人以上に明確な意思を持って働いています。技能実習制度を活用しようと思ったきっかけを意識させることで、苦しい場面でも諦めず乗り越えていけるかもしれません。

ベトナム人実習生に限らず、どのような気持ちを持って日本に働きにきているか、何がトラブルの種になるかを理解することで、効果的な技能実習生受け入れの仕組みをつくることができます。また、長期的に受け入れていくためには、継続的なアプローチが肝要と言えます。


参考:

➢      一般社団法人ベトナム実習生受け入れ協会「よくある質問」

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