
技能実習生
ベトナム人実習生はなぜ日本でうまくいくのか?
ベトナムから日本に来て働く実習生が増えている昨今。ベトナム人実習生とどのように仕事をしていったらいいのか、可能な限り実習生に関わるトラブルをどのように防いでいくのか、日々模索している企業も少なくないでしょう。本稿では、ベトナム人実習生を採用する際、知っておくと受け入れに役立つ予備知識をお伝えしていきます。
日本文化が受け入れられている国
ベトナム語で「新しいものに換える」を意味する「ドイモイ(※)」以降、ベトナムでは日本のアニメや漫画が根付いてきました。そのため、ベトナム人にとっては子どもの頃から日本文化に親しみがあるのです。
(※)ベトナム共産党が1986年から行った刷新政策のこと。市場メカニズムや対外開放政策が導入され、経済面でほどなく大きな成果を挙げた。中国でかつて鄧小平が始めた改革開放政策に相当する。
現代のベトナムでは「ドラえもん」や「名探偵コナン」など日本の漫画カルチャーが広く受け入れられています。いくつもの少年漫画・少女漫画がベトナム語で出版され、さらに往年のドラマ「おしん」もベトナムで放送されたことで、日本人の勤勉さを美徳として印象づけました。
また、高品質で壊れにくいとして、日本の電化製品や自動車、オートバイは依然として人気が高くなっています。近年では、日本製のウォッシュレットがベトナムの富裕層に流行するなど、身近に日本製の商品があることで親日感情を抱きやすいそうです。
このように日本文化に触れる機会が多いことから、技能実習制度を活用して日本で働きたいと思うベトナム人が多いのです。
日本に馴染みやすいベトナム人の気質
ベトナム人は勤勉、まじめ、忍耐力がある、協調性があると言われています。こうした国民性は、日本人と近い部分が多いため、ベトナム人は日本での仕事に馴染みやすいのです。また、手先をつかった産業が発展してきた経緯があり、器用な人が多いという特徴もあります。
そのため、言語の壁を乗り越えることができれば、周囲とコミュニケーションを取りながら良好な関係性を築くことができるでしょう。勤勉で忍耐力があるため、仕事の流れをきちんと理解すれば高い生産性を発揮してくれるケースも多いです。
実際、働く姿勢だけでなく他人を助けるという気質から、日本の企業にとっても社風に馴染みやすく受け入れやすいという声が上がってきています。
技能実習生を受け入れた企業の声
当社が実施した、技能実習生を受け入れている企業へのアンケート結果(5社回答)の一部を紹介します。
■受け入れ前に抱いていた技能実習生のイメージ
「まじめな性格」「日本語が苦手」「仕事を休まない」「親日家」
■受け入れ前に想定していたメリット
「人材不足が解消できる」「まじめに働いてくれる」「既存社員の稼働を平準化できる」「職場の活性化」
■受け入れ前に想定していたデメリット
「生活面のフォローが大変そう」「日本語が通じないことによる育成の難しさ」「生活文化の相違による近隣トラブル」
■受け入れ後に感じたメリット
「非常にまじめ」「一生懸命働いてくれる」「勉強熱心」
■受け入れ後に感じたデメリット
「移行試験の勉強が大変」「言葉の壁がありもったいない」「生活面の支援が予想より大変」
■受け入れ後に感じたギャップ
「日本人従業員とうまく仕事ができる」「ルールをきちんと守る」「日本語が思ったより通じない」
このように、ベトナム人が日本での就業に馴染みやすいと企業が感じていることが見て取れます。日本語が通じさえすれば、勤務態度や日本人従業員との関係構築も比較的スムーズに進むため、外国人を採用する効果はあると言えるでしょう。
まとめ
親日的な国民が多いベトナムですが、来日したベトナム人実習生の待遇や受け入れ態勢にきちんと気を使っておかないと、せっかくの好印象が失われてしまうかも知れません。最近発生している逃走等のトラブルを「他山の石」として、いずれ帰ってもらうことを前提とする制度であることを念頭に、自社の利益に注力しながらも、両国関係の明るい未来にも配慮して採用を行っていきましょう。
参考:
➢ 外務省ホームページ 日本のODAプロジェクト ベトナム 無償資金協力