外国人派遣の正しい選び方と手続き

外国人派遣の正しい選び方と手続き

人材の確保が課題となっている今日このごろ、外国人を派遣で活用したい企業がしばしば見受けられます。外国人派遣の適切な選び方や派遣採用の手続きについて、見直してみましょう。

急増する外国人労働者にともない外国人派遣の需要が増加

多くの国内企業において、人材の確保が重要な課題となっています。統計によると、2013年10月時点で約72万人だった国内外国人労働者の数は、2018年10月時点で約146万人に増加しました。近年の少子化傾向を背景に、2025年には国内でなんと583万人もの労働力不足が予想されています。また、政府が中心となり後押しする「観光立国」のイニシアチブのもと、外国人観光客数が増加しています。こうした動きに伴い、英語や中国語をはじめ外国語の読み書きや会話を流暢に行うことができる人材の雇用需要も高まっているのです。2020年夏、東京で開催されるオリンピック・パラリンピックでは、外国人材を活用できる場面が数多くあると見込まれています。

このような社会的背景のもと、これまで以上に外国人を派遣で活用したい企業が見られるようになってきています。派遣という形態での採用によって、ミスマッチの発生や長期にわたる研修後に辞められるリスクを低減することが可能です。しかし、雇用する外国人といかにコミュニケーションをとっていくかという問題があります。また、企業が用意する職務内容が、派遣候補者の在留資格のタイプに合致しなければなりません。外国人派遣の上手な選び方、スムーズな派遣採用の手続きを実際に行えているか、その際に着眼すべき重要なポイントについて見ていきましょう。

安心して依頼できる派遣会社とは

派遣業を営む会社が多数あるなか、安心して依頼できる会社かどうかを見極めることは簡単ではありません。なにしろ、国内に有料職業紹介事業所(派遣・紹介含む)は実に19,335所以上も存在しているためです。当然その質にはばらつきがあります。自社にとって適切で信頼のおける会社を十分に吟味したうえで選ぶことが重要です。

派遣会社を選ぶ際のひとつの判断材料として、「優良派遣事業者認定制度」があります。

優良派遣事業者認定制度は、法令をきちんと遵守しており、より良い労働環境の確保や派遣先でのトラブルの予防に努めている優良な人材派遣事業者を認定する制度です(厚生労働省委託事業)。認定を受けようとする事業者からの申請を受け、厚生労働省から委託を受けた認定機関により指定された審査機関(「指定審査機関」)が審査を行います。認定基準に沿った取り組みの実施状況について審査した後、可否の判断を下します。優良派遣事業者認定には有効期間があり、3年ごとに更新が必要です。制度の概要や認定基準を知って、派遣会社を選ぶポイントのひとつとしてぜひ活用しましょう。

どの派遣会社に依頼するかチェックリストを作成する

まずは、優良派遣事業者認定を受けている人材派遣会社かをチェックします。また、対象とする外国人材を多く抱えている人材派遣会社かどうかも確認しましょう。なお、派遣会社が雇用主となりビザ・在留資格の申請や変更を行うので、在留資格関連の知識があり、入管法、派遣法のコンプライアンスをしっかり遵守する会社かどうか、しっかりチェックすることが大切です。

また、外国人派遣社員の母語を話せてフォローを行える営業担当がいればなおよいでしょう。しかし、派遣会社の営業担当は転職を繰り返すことがあるので、契約手続きの途中で担当が変わってしまう事態に備え、営業担当以外のスタッフも紹介してもらっておくとスムーズに話を進められます。

人材紹介会社によっては、外国人派遣において「トライアル期間」を設けることが可能な場合があるので、確認しておきたいところです。これらのチェックポイントを漏らさず押さえておけば、外国人派遣の成功確率もぐっと高まるでしょう。

契約内容をきちんと確認し、派遣期間と在留資格をチェックする

在留資格自体は会社として申請する必要はありませんが、在留資格のタイプによって外国人が従事できる職務が決まるため、その内容を知っておくことは重要です。また派遣可能な期間を確認するためには、派遣元事業者と外国人との雇用契約書を確認することも大切です。例えば留学生のアルバイトを雇用する場合、「資格外活動許可」を受けていることが必要です。

なお、外国人の派遣においても同様に、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関係の業務 (紹介予定派遣による場合を除く)の4業種は、派遣形態での雇用が禁止されていることに留意してください。

派遣で紹介された外国人がオーバーステイになっていないかは必ず確認する

派遣先がオーバーステイを知りながら外国人を働かせていたと判断されてしまうと、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。これは派遣会社任せにせず、企業側もきちんと確認しておかなければなりません。

なお、外国人かどうかを問わず派遣先は、派遣元との労働者派遣契約で定めた就業日・就業時間・時間外労働などの限度内で派遣労働者を就業させなければなりません。また、派遣元の36協定(さぶろくきょうてい)の内容にしばられるため、36協定の内容を把握しておく必要もあります。36協定とは、「労働者に法定時間を超えて働かせる場合(残業)、あらかじめ労働組合または、労働者の代表と協定を結ばなくてはならない」という旨の協定のことで、労働基準法36条に規定されています。

さらに、外国人雇用においては雇用形態に関わらず、外国人雇用状況の届出をハローワークに提出する必要があります。厚生労働省のホームページでも注意喚起しているとおり、「外国人雇用状況の届出」は、すべての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です。届出を怠ると、30万円以下の罰金が科されるので気をつけてください。

原則として外国人派遣においては、派遣関係の法令と入国管理法等の外国人関連の法令の両方を遵守して行う必要がありますので、日本人雇用者の場合と異なることに留意しましょう。以上の各ポイントをしっかりと頭に入れて、外国人派遣のスムーズな採用に向けてがんばっていきましょう。

まとめ

人手不足が進む日本において、外国人を受け入れることは1つの打ち手になってくるでしょう。一方で、外国人を雇用するには法令や制度など日本人雇用以上に従わなければいけないことがあります。そういった面のフォローも含めて、信頼できる外国人派遣会社と付き合っていくことは重要だと言えます。知識だけでなく実績や外国人に対するフォローの内容を確認し、自社の業務拡大に貢献してくれるパートナーとして取引をしていくといいでしょう。

 


参考:

外国人採用9つの手法!「虎の巻」メリットとデメリット 一挙公開!

 1から10まで|人材派遣にて外国籍の方を受け入れる場合の注意点

 なぜ今外国人の人材派遣業が勃興しているのか?企業・外国人にとってのメリットとは?

 優良派遣事業者とは?

 「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(平成30年10月末現在)

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