外国人労働者を活用するうえで企業担当者が押さえておきたいニュース3選

外国人労働者を活用するうえで企業担当者が押さえておきたいニュース3選

国内の大半の業態において、人材不足が慢性化しつつあります。「企業は人なり」という有名な言葉にもあるとおり、人材が足りなければ企業は成り立ちません。

そうした状況を改善するために検討されているのが外国人採用です。

2019年には改正出入国管理法(入管法)が施行され、外国人労働者を受け入れる環境整備も徐々に進んでいます。外国人労働者に関するニュースや採用事例を紹介しながら、外国人労働者を有効活用する方法のヒントを解説します。

外国人技能実習生関連のニュース2件(特定技能1号誕生と外国人留学生争奪戦)

従来、外国人採用に関して用いられてきた技能実習制度は、企業の人手不足解消のために活用されていました。しかし、在留期限がある(最長5年間)、制度を悪用するあっせん業者が存在する、外国人技能実習生の労働環境が改善されない、といった問題点も抱えていました。

こうした課題を解決し、企業にとって効果的な外国人労働者の採用、活用につなげることが期待できるニュースを2件紹介します。

■企業で技能実習生から特定技能1号が誕生

三菱ふそうトラック・バス株式会社は、2019年12月に外国人技能実習生から「自動車整備作業」の特定技能1号が2名誕生したことを発表しました。

外国人技能実習制度は1993年に設けられ、日本での産業において技能や知識を習得・習熟して、開発途上国へと移転することを目的としています。技能実習生には職種に応じた在留期限が設けられており(技能実習1号・2号で合計3年間)、途上国発展のための技能・スキルを身に付けさせる国際協力の側面を持っています。

特定技能1号は入管法の整備によって新たに設けられた在留資格で、特定の技能を生かして通算5年間の就労が可能です。さらにスキルを磨いて特定技能2号の資格を取得できれば、在留資格の上限はなくなります。

つまり、技能実習生が特定技能1号の在留資格を取得することで、企業にとっては長期的に能力の高い外国人労働者を雇用できるのです。労働者にとっても、日本で長期的なスパンで技術習得できるというメリットが生まれます。

同社は、今後も技能実習1号・2号を修了した希望者に対して、特定技能1号へ移行し、外国人労働者を活用していく予定です。

■介護事業者が外国人留学生の争奪戦を繰り広げる!

人材不足が蔓延(まんえん)する介護業界で、石川県金沢市の専門学校「アリス学園」が実施している奨学金制度が注目されています。

同校では、介護福祉学科に入学後の留学生に対して面接を実施し、卒業後の就労先を探します。そして、就労先となる介護事業者から学費の50〜100%の奨学金を受け、介護福祉士の資格取得や介護士としての技術獲得をめざします。

アリス学園の奨学金制度のユニークなポイントは、奨学金提供者が就労予定の介護事業者であるところです。人手不足に悩む介護事業者は、奨学金制度のスポンサーとなることで人材を確保できるという仕組みです。

人材紹介会社を利用して技能実習生を雇用することもある介護業界ですが、労働力の質や量を補足するために新たな人材確保のルートをつくる工夫がされた事例です。

留学生向けに独自の制度を整えた企業のニュース

続いて、外国人に対する日本語教育の需要が非常に高まっているというニュースを紹介します。

日本で長期的にキャリアを築きたいと考える労働者は多いです。彼ら・彼女らが日本で長期的なキャリアを築くために主に必要だと考えているのは以下の3点です。

  • スキルアップできる仕組み
  • 明確な評価制度
  • 日本語力や日本のマナーに対するサポート

資格として日本語教師の人気が高まっていることや、2019年に日本語教育推進法が制定されたことにも見られるように、日本語教育の需要が非常に高まっているのです。

従来は、外国人労働者の日本語力やマナーに関する理解は、個々の努力にゆだねられていました。しかし、外国人労働者向けの日本語セミナーやマナー講座などの人気が高まり、受け入れ企業側としてもこれらの取り組みを積極的に行う姿勢が求められています。

企業独自に外国人労働者向けに研修制度を実施している例として、株式会社セキドと京都育英館との提携事例も紹介します。

京都育英館は、「関西言語学院」のブランド名で中国人留学生に対する日本語教育事業を展開しています。株式会社セキドは、アパレル系店舗を展開している企業で、人手不足解消の目的で2015年より中国人採用を行っています。

両社の提携により、京都育英館の学生は学校で日本語やマナーについて学んだ後、セキドにて店頭での販売業務や、本社での市場調査体験などの独自プログラムを体験できるようになりました。日本企業で長く働きたい留学生の希望と、優秀な中国人留学生を採用したいというセキド側の希望が合致したのです。また、セキドでは、メンタルケアサポートなど、中国人労働者の生活面を全面的に支援する体制を整備しています。

 

外国人労働者の人数推移と今後の展望

最後に、外国人労働者の人数推移と今後の展望について解説します。

法務省出入国管理庁が発表した「2018年における留学生の日本企業等への就職状況について」によると、2018年に日本企業への就職などの目的で在留資格を与えられた外国人労働者の人数は25,942人で過去最高となりました。

特に建設業界で外国人労働者の人数の伸びが非常に大きく、2008年の8,355人から2018年の68,604人へと10年間で約8倍にまでふくらんでいます。

企業の人材不足感や日本で働きたいという外国人労働者が増加している背景を踏まえて、在留資格「特定技能」の新設といった、受け入れ拡大のための法整備も進められています。今後の展望として以下が予想されます。

  • 単純労働分野への幅広い国籍からの人材受け入れ
  • 一定の知識・スキル・日本語能力の必要性
  • 既存の技能実習から特定技能への移行が容易になること
  • 永住者の拡大

日本人労働者の雇用への影響や外国人労働者の労務環境など課題も散見されるなか、企業と外国人労働者の双方にとってメリットの大きな環境が整うことが望まれるでしょう。

まとめ

国内企業で人手不足が進んでいる環境下で、外国人労働者は大きな魅力です。

環境の整備や各企業での取り組みが報道されているとおり、将来的にも最新の話題となり続ける可能性が高いでしょう。

一方で、受け入れのためには行政による法整備だけではなく各企業や管理職者、日本人スタッフにも努力が必要です。例えば、公平かつ透明性の高い人事評価制度やメンタルサポートにより外国人労働者の労働意欲を最大限に発揮できる仕組みづくり、日本語・マナー・生活面のきめ細かなサポートなどが求められています。

 

参考: