外国人労働者受け入れ制度のポイント!高度人材の生かし方

中小企業をはじめとした人材不足を解消するため、2019年に改正出入国管理法が施行されました。

現段階では、即戦力の受け入れよりも技能実習生からの移行が中心となっています。法案が周知され運用が進めば、外国人の受け入れ制度も整備されていくことが予想されます。

外国人労働者を有効活用するうえで欠かせない高度人材とはどのような人材を指すのか、技能実習生との違いをまじえて解説します。

高度人材・技能実習生とは

外国人労働者の受け入れ制度改定において非常に大きなポイントとなる高度人材。以前から設けられている外国人技能実習制度とどのように違うのか、比較しながら把握しましょう。

■高度人材の概要

新たな外国人の受け入れ制度における高度人材とは、高度な専門性や知識を持つ外国人労働者のことです。

従来、外国人労働者といえば、不足しがちな労働力を補うために工場での作業に従事するケースが多く見られました。しかし、高度人材には「日本人と切磋琢磨して専門的・技術的な労働市場の発展を促し、効率化を高める」という目的が設定されています。

高度人材の場合、ITエンジニアや研究・開発職、オフィスワークなどの専門性が求められる職種での採用が可能です。在留資格についても5年間を基本とし、無期限在留資格や永住資格も取得しやすくなります。

このような特徴から、受け入れ側の企業においても、単なる人手不足の解消ではなく、企業力を高める重要な戦力として期待される人材といえるのです。

■外国人技能実習生の概要

技能実習制度は、発展途上国に対して日本の技能や技術を移転するための「人づくり」に寄与するという、国際協力の一環として設けられている制度です。

外国人労働者を現地で採用して日本に連れてくることは可能ですが、あくまで「技術指導」「技術の習得」の目的でなくてはなりません。外国人技能実習生が従事する仕事は、建設現場での作業や農業・漁業などの作業に限定され、在留資格も最長5年間ですが基本は1~3年間となっています。

企業は、人手不足の解消や労働力の補完などの目的で、技能実習生を雇用することはできません。

高度人材のメリット

メリットが数多くある一方で、人材紹介により外国人労働者を直接雇用する際には無視できないハードルもあります。まずはメリットから見ていきます。

■企業側のメリット

外国人労働者を活用するうえで、受け入れ側の企業にとっては以下のメリットが期待されます。

  • 専門性の高いスタッフを採用できる

ポイント制によって「高度人材」としての資格を付与された外国人労働者を採用できることから、専門性の高いスタッフを採用することができます。採用試験で語学力や専門性を確認することで、必要な人材を厳選することも可能です。

  • 長いスパンでの雇用が可能

在留資格が基本5年間に設定されており、永住資格を取得するスタッフも多いので、長期的なスパンでの雇用が可能です。

  • 日本語や日本のマナーに長けているスタッフを雇用しやすい

高度人材のなかには、日本語力や日本のマナーに長けている労働者が多く存在します。募集要件において、必要な日本語レベルを開示することやOff-JTの研修制度を整えることなどにより、言語やマナーに関するトラブル発生要因をさらに下げることができます。

  • 日本人労働者に対する刺激になる

高度な技能を持った外国人労働者を雇用することは、日本人労働者にとっての良い刺激になることもあります。

  • 海外拠点とのコミュニケーションが活発化する可能性がある

海外拠点の言語や商習慣、マナーに習熟している外国人労働者をうまく活用できれば、日本法人との現地法人との架け橋としての役割が期待できます。

■労働者側のメリット

高度人材制度は、労働者側にとってもメリットがあります。主なメリットは次の2点です。

  • 長期的なスパンで仕事ができる

従来の技能実習制度の場合は、せっかく日本の習慣や仕事に慣れても、在留資格の期限切れによって帰国しなければならないケースがありました。高度人材の場合は、5年間のスパンでキャリアを考えることができます。

  • スキルアップをめざしやすい

専門性の高い職種に就くことができることや、活躍次第では昇進や他部署への配置転換も可能なことから、企業内でのスキルの習得やキャリアアップをめざすことができます。

高度人材を受け入れる際の課題

うまく活用できれば、企業にとっても外国人労働者にとっても非常に魅力的な高度人材制度ですが、2020年時点においては課題も散見されます。課題として考えられるポイントは、以下の4点です。それぞれの課題を解決して高度人材を活用する方法を併せて紹介します。

■高度人材の管理者が社内に不足している

経済産業省が2012年に発表した「日本企業における高度外国人材の採用・活用 に関する調査」においてもっとも多く課題として挙げられたのは「高度外国人材を活用できる日本人管理者の不足」で全体の35.4%でした。

確かに、高度な技術を持つ外国人を管理するには、相応のスキルやマネジメント能力を持つ管理者の存在が必要です。

管理職の育成は付け焼き刃で対応できるものではありませんが、管理職スタッフの育成・指導に力を注ぐとともに、自治体や民間企業などで開催されている、高度人材活用に関する管理職向けセミナー・研修に積極的に参加させるなどの対策を立てることができます。

■求める人材のスキルが明確化されていない

高度人材でも、持っているスキルや日本語能力、マナーに対して理解が一定というわけではありません。受け入れる際に、どのような能力をどのレベルで要求するのかを明確に開示することにより、双方の条件の不一致を防ぐことができます。

例えば、複数の職種で高度人材の活用をする場合は、職種によって求める日本語レベルの高さを変更するといった対応も効果的です。

■生活面でのサポート不足

外国人労働者は、慣れない日本で生活文化やマナーの違いに困ってしまうことも多いため、日本語、マナー、住居、医療、日常生活などさまざまなサポートが重要になります。企業は、困ったときの相談に対応できる体制を整えておくことが重要です。

また、高度人材を継続的に雇用することで、日本でのキャリアの長い外国人労働者が後輩の高度人材のサポートをする、といった好循環が生まれると理想的です。

■スキルに合った労働ではなく単純作業をさせてしまっている

高度人材を採用したにもかかわらず、企業側が単純作業をさせてしまっているケースもあります。

問題の解決のためには、不当な労働をさせていないかチェックする機能や罰則規定を設けるといった、国が行うべき課題もありますが、企業側でも以下の姿勢が求められます。

・「人手不足」解消のために制度を悪用しないこと

・自社が求める専門性やスキルの高さを明確に開示すること

・求職者との食い違いがないように努めること

高度人材制度を利用するにあたって、企業が理解と協力を示すことも重要なポイントです。

まとめ

2019年の入管法改正により、従来よりも外国人労働者を活用しやすくなりました。

専門職としてのスキルはもちろんですが、日本語能力が高く日本のマナーの知識に長けているスタッフを長期的に雇用することができるようになりました。企業としては、貴重な労働力として外国人を活用することができます。

一方で、高度人材に関しては、現状多くの課題も見られています。今回紹介した課題解消のポイントを参考に、企業の成長やイノベーションのため、高度人材の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

 

参考:

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