ベトナム人実習生が急増!ベトナムの文化・宗教・食習慣を知ろう

外国人技能実習制度を利用して日本で働く外国人労働者は、全国に約32万8,000人(2018年末時点)います。そのうち、約50%を占めるのがベトナム人です。ベトナム出身の外国人労働者は日本文化になじみがよいともいわれていますが、その理由をベトナムの文化・宗教・食習慣から探っていきましょう。

ベトナムの国民性

ベトナムの国土面積は日本全土から九州を除いたくらいで、南北に細長い形をしています。日本と同様に南北で気候が違うため、地域ごとに気質も異なるといわれています。一般的に、南国らしい熱帯モンスーン気候の南部はおおらか、年間の寒暖差が激しく四季がある北部は真面目で几帳面な性格といわれます。

ベトナム人と働いた経験を持つ人からは、たびたび「素直」で「純粋」、「勤勉」という評価が聞かれます。アジア人特有の親しみやすさがあり、農耕民族らしく性格がおだやかな人も多いようです。勤勉で、新しい技術の習得も熱心です。

ベトナムの教育水準はとても高く、ベトナム統計総局のデータによれば、識字率は 95%以上。就学率は 小学校は98.0%、中学校が92.6%、高校が74.3%、大学は28.3%となっています。ベトナムは古くから文化面で隣国・中国の影響を大きく受けており、かつてはベトナム語も漢字で表記されていました。その後、フランスによる統治時代にアルファベット表記が導入されたことで読み方が簡単になり、これが高い識字率につながっています。

ベトナムは2020年代の工業国入りをめざしており、政府は教育に力を入れています。特に理数系教育に注力していることから、科学的リテラシーおよび数学的リテラシーは東南アジアでトップクラスです。OECD が3年ごとに実施する国際的な学習到達度調査(PISA)でも、新興国中で群を抜く優秀な成績をおさめています。こうした基礎教育での素地が、ベトナム人技術者の評価を高めているのでしょう。

また、ベトナムの伝統工芸品に見られるように、手先が器用で細かい作業が得意な人が多いようです。電化製品やバイクのちょっとした修理にも慣れています。

一方で、「ベトナム人はプライドが高い」「自信過剰」といわれることがあるようです。トラブルが起きた場合、まず謝る日本人とは違い、ベトナム人は事実を伝える傾向があるそうです。そのため、ベトナム人に仕事のミスを認めて改善してもらうといった作業は、少なからず骨が折れるものになるようです。日本語の習熟度によりますが、仕事場でも言い方に気をつけないと軽く注意しただけでも重く受け止められる場合もあります。

また、ベトナムに限らずアジアでよく見られる傾向ですが、親、兄弟、親族との関係が深いのも特徴です。家族を優先するため、家庭の事情での退職もあります。また、これも成長著しい新興国ならではですが、過去や未来をあまり考えず、刹那的な面もあるといわれます。

ベトナムの宗教

1986年にベトナム共産党が提唱した「刷新政策」を意味するスローガン「ドイモイ」のもと、ベトナムでは、経済や社会のさまざまな面で開放が広がりつつあります。しかし、社会主義国であるため、宗教は表立ってはあまり熱心ではありません。

ベトナムは多民族国家で、経済・社会多数派を占めるキン(越)族の大半は仏教徒です。キン族の仏教は、日本と同じ大乗仏教です。次いで多いのが、フランス統治下で広まったキリスト教です。ベトナム人のキリスト教徒の多くはカトリック信者になります。このほか、近年ではカオダイ教と呼ばれる新興宗教も栄えています。カオダイ教は、仏教、儒教、道教、キリスト教、イスラム教……とあらゆる宗教を取り入れ、さまざまな人物を神格化して信仰するという一風変わった宗教です。ベトナム南西部のタイニン省にカオダイ教の総本山があり、観光名所にもなっています。

ベトナムは中国と古くから関係が強かったため、伝統行事には儒教や道教の要素も根付いています。仏教の寺院にはこれらの神様も祀(まつ)られており、キリスト教徒でも伝統的な行事は大切にするといった側面もあるようです。

無宗教もしくは大乗仏教徒が多く、儒教や道教の影響も強いという面から、ベトナム人は道徳観が日本人と似ているため、宗教をめぐる摩擦が起こりにくいといえます。

ベトナムの食習慣

ベトナムは米食文化の国で、北部のデルタ地帯では質のよい米が収穫されます。米はそのまま調理する以外に、日本でもよく知られているように、米粉の麺(フォー)に加工して広く食されています。一方、フランスパンに具材を挟んだサンドイッチ「バインミー」のように、旧宗主国フランスの影響も見られます。

また、隣国・中国の食文化も取り入れられています。宗教色の薄い国なので、イスラム教徒やヒンズー教徒のように、宗教上の制約から特定の食材が食べられないということは少ないようです。

ベトナム料理は全体的に味付けが淡白で、辛い料理はほとんどありません。中国料理の影響から、小魚を塩漬けにして発酵させたヌックマム(ニョクマム、魚醤)という調味料を多用します。

ベトナム人は犬を食べる、と指摘する人もいますが、若い世代はすでに犬食文化から離れつつあるようです。ベトナムの若者に興味本位で「犬を食べることがある?」と質問すると嫌な気分にさせるかもしれませんので、避けたほうがいいでしょう。

フランス統治の影響から、コーヒーを飲む習慣も根付いています。エスプレッソのように濃厚なコーヒーにコンデンスミルクをあわせ、ミルクコーヒーにして飲む人が多いようです。

ベトナム人はビールを飲むのが大好きです。「333(バーバーバー)」というビールはベトナムで有名だそうです。ただし、女性はお酒を飲まないという人が多いので、無理強いするのはやめましょう。

ベトナム人と付き合うコツ

先に国民性の項でも述べたとおり、ベトナム人と日本人では異なる面があります。仕事上でトラブルやミスがあった場合は、皆の前で注意するのではなく、1対1で個別に注意するほうがよいでしょう。論理的に物事を考える人が多いので、仕事の意味ややり方を論理的に説明すると、仕事の精度も上がり仕事仲間として付き合いやすくもなります。

ベトナム人は純粋でおだやかともいわれますが、なかなか心を開かない一面があります。おだやかなのではなく、心を開いていないゆえに怒りを表情に出していないことがあるかもしれません。ベトナム人はあまり怒らないからと、嫌がることを無理強いするのはやめましょう。

また、ベトナム人は論理的な反面、物事を徹底的に追求して生産効率や精度、品質を高めるよりも、形が整っていればOKという傾向もあります。自らの非を認めたがらない一面もあり、できないことも「できる」と返答する場合があるので、ベトナム人を指導するときは、きちんと理解しているのか確認すべきでしょう。

一度信頼関係を築けば、忠誠心を持って長く活躍してくれる人も多いため、誠意を持って付き合うことが大切です。

異文化を理解するための努力は必要

ここまで、ベトナムの文化、宗教、食習慣などを見てきました。ベトナムと日本には共通点が多く、総じてベトナム人は日本文化になじみやすいでしょう。しかし異文化で育った人たちであることを忘れてはなりません。よりよい関係を築くためには、互いの文化に敬意を抱き、理解する努力が必要です。

 

 

参考:

Ø  ベトナム人の国民性|亜細亜創造事業協同組合

Ø  ベトナムの多様な宗教観を知る|JTB

Ø  べトナムの教育水準 高い識字率と東南アジアトップクラスの科学・数学リテラシー|キャピタルアセットマネジメント

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