1年で強制帰国も?在留資格変更に必須の技能実習生等向け技能検定とは

いまや日本のさまざまな産業で、欠かすことができない労働力になりつつある外国人技能実習生。技能実習生として長く働いてもらうためには、在籍年数に応じて在留資格を変更しなければなりません。在留資格変更に必須となるのが、技能実習生等向け技能検定です。技能検定試験に合格するには、実習生本人の努力だけでなく、受け入れ企業のサポートやコスト負担も求められます。今回は、その概要について見ていきましょう。

技能実習生の在留資格とは

外国人技能実習制度は、発展途上国の若い人材に、日本がつちかってきた技術や技能、知識、経験を移転し、人材育成に貢献するための制度です。現在、受け入れ企業が独自に実習を行う企業単独型と、日本と実習生の母国との間の取り決めのもと、送出機関から派遣された実習生を受け入れる団体監理型の2タイプがあります。現時点では、団体監理型が圧倒的なシェアを占めています。

実習生は、企業単独型と団体監理型どちらも、「技能実習」の在留資格(ビザ)で来日しています。技能実習ビザは、滞在年数ごとに3種に分かれています。入国後1年目の「技能等を修得する活動(第1号技能実習)」、2~3年目の「技能等に習熟するための活動(第2号技能実習)」、4~5年目の「技能等に熟達する活動(第3号技能実習)」です。2020年2月に宿泊職種が追加になったため、第2号技能実習に移行可能な対象職種・作業は82職種146作業に、第3号技能実習は74職種130作業になりました。

技能実習生が2年目以降も日本に滞在して実習を続けるには、在留資格を変更するための試験を受けなければなりません。

技能実習2号への変更試験

技能実習2号へ変更を希望する実習生は、在留資格の滞在期間の半分(6カ月)を過ぎる前までに、技能検定(基礎級)の受検申請をする必要があります。申請手続きが遅れた場合、試験日の設定が在留期間終了の直前になり、不合格の場合に再受検ができず帰国となる可能性があるからです。また、日程に余裕がない場合、試験に立ち会う技能検定委員の日程調整ができず、受検そのものができない可能性もあります。

試験内容は、「学科」と「実技」の2種です。学科試験は真偽式(いわゆる○×問題)で、20問を60分間で回答します。100点満点のうち60点が合格ラインです。試験は日本語で実施されるため、受検には最低限の日本語力が必要です。

一方、実技試験の内容は業界業種ごとに異なりますが、実作業もしくは判断等試験(選択式)で実施されます。

技能検定の再受検は1回限りです。不合格になると1年で強制帰国、合格すれば3年間は滞在できることになります。

実習は最長5年まで可能

2号実習生は、実習終了の12カ月前までに、随時3級(専門級)の技能検定に申し込みをしなければなりません。だいたい6カ月前くらいが受検の目安のようです。なお、技能実習3号への移行希望があってもなくても、必ず受検しなくてはいけないことになっています。

随時3級は、学科試験は随意で実技は必須とされています。学科試験は30問で試験時間は60分、合格ラインは65点以上です。学科、実技ともに1回ずつの再受検が可能です。

随時3級に合格すると、今度は最大5年まで滞在できる技能実習3号に移行するチャンスが得られます。ただし、技能実習3号に移行するには、監理団体および受け入れ先企業が「優良」の認定を受けている必要があります。実習生から失踪者が出たり、行政指導が入ったりすると、優良認定を受けることができません。また、随時3級の合格率も、優良認定を左右します。

随時3級の受検は、再受検の日程も考慮して、移行希望者から優先して受検させるとよいでしょう。

技能実習生等向け技能検定の受検準備

試験は日本語で行われるため、日本語に自信がない実習生は、受け入れ後すぐに過去問題を使った試験対策が必要です。過去問題は、各都道府県の職業能力開発協会から購入し、コピーサービスを利用して入手するのがよいでしょう。職能協会主催以外の職種については他の主催協会のホームページにおいて公表されている過去問題をダウンロードして利用しましょう。

受検準備の指導ポイントは、学科試験の過去問題を徹底的に解かせることでしょう。間違えた問題にしるしをつけ、どういった問題が苦手なのかを把握します。ひっかけ問題にも注意し、文章は2回読むように指導しましょう。実技試験対策としては、事前に模擬試験を行って、時間内に終了できるよう準備するとよいでしょう。

こうした作業を、来日して数カ月~数年の実習生が日本語で取り組むのですから、受検準備は生やさしいものではありません。合格に向けてサポートする企業側の負担の大きさも、実習生受け入れの前に念頭においておきましょう。

基礎級は合格させるための試験なので、きちんと準備すれば10人中9人は合格できるといわれます。しかし、なかには日本語が不自由だったり、試験に不慣れだったりして時間内に終わらせることができず、不合格となるケースもあります。実習生は数年間日本に滞在して技術を学び、働いて収入を得るために来日しています。試験に合格するために本気で勉強に取り組むものの、なかには勉強の仕方がわからない、どこから手をつければよいかわからない……という実習生もいます。こうした実習生をフォローするのも、受け入れ企業の役目です。

技能実習生等向け技能検定で企業側が注意すべきこと

上述したように、技能検定の対策は、実習生を受け入れる各企業が実施します。過去問題をもとに、学習計画を立てなくてはなりません。合格率を上げるためには、過去問題を解説、採点する、実技試験の実施に向けた模擬試験を行うなどの準備が必要です。

資格変更試験の費用は企業負担です。試験の受験手数料は協会や職種によって異なりますが、学科・実技合わせて2万円前後となっています。さらに、受検日は業務ができなかったとしても勤務日としなければなりません。有給消化にはできないので注意が必要です。試験は、実習生の所属する企業の施設・設備を使用して実施されます。

都道府県によっては、特定の技能試験を実施しない場合もあります。都道府県の技能検定実施計画について事前に確認しておき、受検を希望する職能の試験が実施されない場合は、各都道府県の職業能力開発協会に相談しましょう。

前述したように、技能実習3号への移行には監理団体・受け入れ先企業ともに「優良」の認定を受ける必要があります。5年間の実習を希望している場合は、実績があり、あらかじめ優良認定を受けている監理団体を選ぶようにしましょう。実習生の合格率は、監理団体のサポートによっても大きく左右されます。

受検準備を通じて実習生との絆を深めよう

実習生に受検準備をしているかどうかと聞くと、たいてい「勉強しています」という言葉が返ってきます。しかし、本当に勉強しているのかどうか、言葉だけではわかりません。負担に感じるかもしれませんが、実習生の自発性に任せるばかりでなく、企業側からも進捗をこまめにチェックするようにすると、結果的に合格率が上がります。監理団体と企業が協力して勉強会や模擬試験を開き、解答を確認しあったり、よくできた受検者を皆の前でほめたりしましょう。試験に対する実習生のモチベーションが上がり、企業と実習生の絆(きずな)も深まります。

技能実習生等向け技能検定への準備は企業側の負担も大きいことを留意しつつ、実習生へのフォローをすることが大切です。



参考:

Ø  技能検定随時試験(国家検定)|大阪府職業能力開発協会

Ø  技能実習生の技能検定に関する注意点|厚生労働省

Ø  外国人技能実習機構「移行対象職種情報」

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