売り手市場でもほしい人材を採用できる?外国人雇用を成功させるコツ

労働者の減少によりここ数年、売り手市場が継続中です。社会構造の変化を見れば、この傾向が収まるとは考えにくいといえます。多くの企業が採用計画に対して未達という現状にあって、外国人労働者に注がれる視線も熱気を帯びてきています。政府は外国人留学生の国内での就職率を向上させる方向性を示しており、売り手市場の波は外国人採用にもおよんでいるのが現状です。そうした状況のなか、企業が求める人材を確保するためにはどのように考えていけばよいのでしょうか。ここでは、売り手市場でも自社に必要な外国人雇用を成功させるポイントを解説します。

外国人雇用の現状と課題

毎年行われている企業の雇用調査では、採用計画どおりに進められているのは半数にも満たないことが明らかとなっています。国内の人材でまかなうのが難しくなっているいま、熱い視線を注がれる外国人材。外国人雇用の現状と課題について見ていきましょう。

労働市場で存在感を増す外国人

政府は海外からの優秀な人材の就業機会を促進するために、「留学生就職促進プログラム」といった施策を実施しています。労働力を補う大きな柱として、外国からの人材雇用に期待が集まります。

外国人労働者数はこの10年間で8.6 万人(2008年)から 146.0 万人(2018年)へと約 97.4 万人増加しており、日本国内の就業者に占める割合は2.2%と過去最高を記録しました。

しかし専門的・技術的分野の外国人については積極的な受け入れ姿勢である反面、単純労働の分野ではいまだ慎重な対応がとられる傾向があります。そのため、不足する人材すべてをカバーするには至っていないのが現状です。

いまの日本社会において外国人労働者は労働市場での成長株とみなされており、在留資格「特定技能」の新設といった法改正に続く、さらなる受け入れ拡大策が期待されます。

企業規模に関わらず注目度が上昇

外国人を正社員として採用・活用する動きは、大企業が中心となっています。人材育成を人手不足への対応ととらえる企業の多くが外国人採用を視野に入れており、教育の重要性が高まっているのです。

留学生アルバイトの採用に関しては、中小企業でも前向きな姿勢が見られます。留学生採用に特に積極的な業種としては、小売業、宿泊業、飲食業などがあります。

年齢構成で見ると、専門的・技術的分野では25~34歳の大学卒業後の割合が多く、飲食業、小売業では24歳以下の若年層を雇用する傾向が見られます。

国別で見ると、以前は中国が主となっていましたが、最近ではベトナム、フィリピン、ネパールなどアジアを中心に多様化し、さまざまな国へと雇用対象が広がっているようです。

 約8割は雇用後の働きに満足

外国人を採用している企業で、雇用した人材が期待どおりの活躍をしていると考えている企業は約8割にのぼります。

その反面、自社が求める一定レベルの人材を確保するのには苦労している様子です。その結果、期待していたほどの成果が見られないといった企業も少なくありません。

外国人の雇用について、コミュニケーションや雇用期間を課題とする声が多数聞かれます。せっかく育成しても、期間の問題で継続雇用ができないことに悩む企業も多いようです。

人材獲得競争の激化により、外国人雇用にも苦戦する企業が増えてきています。国に対し、受け入れできる適用対象の拡大、外国人労働者の手続きの簡略化や窓口の拡充など、より効果の高い施策が求められます。

企業の自助努力だけで雇用問題を解決することはできません。特に中小企業では、大企業のように独自の対策を打ち出すのが難しいため、国による雇用対策への支援が期待されているのです。

激化する人材獲得競争で成功するためには?

激化する一方の人材獲得競争のなかで、自社に合った外国人材を雇用するためにはどのように考えていくべきなのでしょうか。

「優秀な人材」は競争率が高い

人材採用の現場では、国籍を問わず「優秀な人材」ほど獲得競争が厳しくなります。しかし、どのような基準をもって「優秀」という定義がなされるのでしょうか。

「日本語検定」や「外国人就労適性試験」など、一定の基準となるものは確かにあります。しかし、それは仕事への適性のすべてを表しているわけではありません。

「他社がほしがる人材がすべて自社にも当てはまるのか?」という点に着目し、別の切り口から検討することが大切です。

求める人材を独自に定義にする

ただ「良い人材」だけを求めても、採用は成功しません。まずは求める人材を、自社なりに定義しておくことが重要です。

例えば入職時点で日本語があまり話せなくても、社内の教育体制が整備されていたり、面倒見のよい社員が大勢いたりするのであれば、条件を低くすることができます。

労働期間は長いほうがよいのか、短期間でも集中的に業務にあたってもらえればよいのかによっても、人材を探す方向性が変わってきます。

もちろん、作業内容に合わせた資格や得意分野は、はずせない条件となるでしょう。

直接雇用・間接雇用、正規・非正規といった雇用形態も、採用選定のポイントとなります。

自社基準を具体化、明確に設定していくことで、他社とはかぶらない「優秀な」人材採用へと動けるようになります。

「ターゲット人材」の絞り込みが雇用成功のカギ

先述したように、人材雇用はあくまで自社のニーズを中心に考える必要があります。雇用成功のポイントをさらに見ていきましょう。

自社が外国人雇用に踏み込む理由

採用活動にあたっては、そもそも自社がなぜ外国人材を求めるのかという、根本的な部分を明確にしておかなければなりません。

単に「人手不足だから」では、最適な人材を雇用できる可能性が低下してしまいます。

不足しているのならば、どの部分が不足しているのか、どのような人材ならばそこを満たせるのか、それはいつまでに必要なのか、といった点を突きつめます。そこから必要としている人物像が、具体的に浮かび上がるでしょう。

一部、すでに外国人雇用をしている企業のなかには、思いどおりの成果が得られていないという声をあげているところもあります。これは、雇用の際に明確な定義の絞り込みができていなかったと考えられます。

「人手がほしい」とあせるあまりに、まったく自社向きではない人材を雇用してしまうのは、企業にも相手にも時間のロスにしかなりません。

自社の置かれた状況を改善させるための雇用とするならば、何をもって適材と判断するのか、雇用の目的に沿った基準設定が必要です。

何を優先させるのか

どれほど時間をかけ、あらゆる手段を使ったとしても、100%完璧な人材を探すことは不可能です。

人材選出の条件には優先順位をつけ、可能な限り理想に近い採用となるように図ります。重視するポイントが、知識や経験のこともあれば、とにかくコスト面を優先させたいという場合もあります。

多少育成に手間をかけても長く働いてほしい、フルタイムで働ける人を優先したいという企業もあるでしょう。

条件同士を比較した場合、何をどれだけ譲歩できるのかまで決めておけば、その場で迷った挙げ句に誤った判断を下すというリスクを最小限にできます。

将来を見通す視点

従業員候補となる外国人の情報をしっかりと読み込み、その人材を雇用した場合の企業との将来の関係について、予測する視点を持つことも大切です。

短期雇用で急場を切り抜けるだけの人材とするのか、将来的に海外進出をする際のベースにできる人材なのかは先に挙げた雇用目的とも関連してきます。企業の短期・中期・長期的な見通しをもって、採用計画を実施していくようにします。

短いサイクルで別な人材を何度も雇用したほうがよい業務もあれば、じっくりと時間をかけて育成するほうが結果的に業績に結びつくということもあります。

まとめ:視点を変えて好人材を確保する

売り手市場が続くなか、外国人労働者についても能力の高い人材の確保に苦労している企業が大半です。外国人の採用を考えるとき、漠然とした「優秀な人材」を求めていては後々悔いを残します。自社が本当に必要とする人材をターゲットとすることを強く意識し、具体的な基準をもとに採用活動に臨むことが大切です。売り手市場であってもニッチな人材をねらえば、それだけ獲得の可能性が広がります。他社とは違う視点からの、外国人雇用をめざしてみてはいかがでしょうか。

 

参考:

関連記事