人手不足の原因は何?!外国人を採用したい企業が考えるべきこと

人生100年時代といわれる現在、定年をすぎても元気に働く人が多い一方で、少子高齢化により若手の労働力が減少しています。そこで、東南アジアや中国の元気で意欲ある若者を迎えて、人手不足を補おうと考えている企業が増えています。人手不足の原因を考えるとともに、労働力不足を補うひとつの打ち手となる外国人採用について考えていきます。

人手不足の原因とは

なぜ日本は労働力不足に悩まされているのでしょうか。それには、さまざまな背景が考えられます。

・労働人口の減少

日本は、世界に類をみない速さで少子高齢化が進んでいます。平成の「失われた30年」に加速した非婚化・晩婚化が少子化に拍車をかけました。

1971年から1974年ごろに生まれた「団塊ジュニア」は、出生数200万人を超える第2次ベビーブームの世代です。しかし、運の悪いことに彼らがちょうど社会に出て結婚適齢期に差しかかるころは、バブル崩壊後の大不況の真っただなか。大卒でも正規雇用の職にありつけず、非正規雇用を転々としながら糊口をしのいだ人も多かった時代でした。少子化の到来が指摘されながらも、団塊ジュニア世代の非婚化に対する具体的な対策が先送りされてきたため、金銭的に不安定ななかで結婚して、子どもを持つことをあきらめた人も多かったといわれます。このように、平成の「失われた30年」で日本の若年人口は減少を続け、いま労働人口の減少に直面しているのです。

総務省の人口統計によると、大卒年齢にあたる22歳の人口は2018年10月時点で125.7万人となっています。1990年代後半~2000年代初頭に団塊ジュニアの結婚・出産ブームを引き起こせていれば、そのころ生まれた赤ちゃんは今ごろ10代後半から新社会人です。新卒採用も異なる様相を見せていたことでしょう。

・雇用条件と労働条件に対する労働者側の要望の高まり

日本企業はバブル崩壊以降、人件費を含むコスト削減でなんとか業績を維持してきました。しかし、人手不足による賃上げ圧力が高まっています。また、ブラック企業問題や働き方改革の風潮もあり、ひとり当たりの生産性や人員不足を長時間労働でカバーする手法が通用しなくなりつつあるのです。

採用市場が売り手優勢になると、就職希望者は労働条件を選り好みできるようになります。魅力的ではない職場や職種には人が集まりにくくなっているのです。

・有効求人倍率の上昇

こうした環境の変化から、企業の求人数(有効求人数)を、ハローワークに登録している求職者(有効求職者数)で割った割合を示す有効求人倍率は2010年ごろから急激に改善しました。2019年の平均有効求人倍率は1.60倍でした。また、完全失業率も同時に急低下しています。特に、少子化に伴う人口減によって、新卒採用市場は売り手市場です。

外国人はなぜ日本で働く?

日本人の労働人口が減るなか、その労働力不足を補うために外国人労働者の雇用は増加しています。

ではなぜ、外国人は日本で働くのでしょうか。

1. 母国より給与が高い

平成の「失われた30年」の間、日本はデフレが続いたため賃上げが抑制されました。そのため、欧米の先進国に比べると平均給与は劣りますが、それでも新興国や発展途上国から見れば、自国の何倍もの給与が稼げるという点で魅力的なのです。

2. スキルを身につけたい

戦後、「ものづくり大国」として経済発展した日本。日本で働きながら、さまざまなスキルを身につけたいと希望する人も多くいます。

3. 日本文化が好き

海外の人にとって日本といえば自動車や家電、というのは昔の話になりつつあります。日本のアニメやマンガを通じて日本を知り、日本文化や日本語を学びたいと来日を希望する人もいるのです。

4. 治安が良い

小学生が大人の付き添いなく通学できる国は、世界広しといえどそう多くありません。また、女性が夜道をひとり歩きできる国も少ないでしょう。日本の治安は、海外の多くの国に比べてもとびぬけて良いといます。治安が良いということは、セキュリティにお金がかからないということでもあります。自家用車を持っていなくても公共の交通機関を安心して利用でき、家賃の安い物件に住んでも周囲から危害を加えられる心配がありません。それだけ、可処分所得を増やすことができるのです。

外国人採用で起きやすいトラブル

こうしたなか、東南アジアや中国の元気で意欲ある若者を採用したいと希望する企業が増えています。しかし、言語だけでなく、労働に対する価値観や文化の異なる外国人とともに働くということは、容易ではありません。

「Teachme Biz」(ティーチミー・ビズ)の調査では、企業の8割以上が「外国人労働者の育成で苦労した」と答えています。約5割が「コミュニケーションが取りづらかった」「口頭での指示が伝わらなかった」と答えており、言葉の壁が働くうえで困難を呼んでいるようです。

このほか、「生活習慣の違いや文化にとまどった」「時間にルーズだった」が続き、言語だけでなく価値観の違いも障壁になっていることがわかります。

日本の価値観を押しつけるばかりでなく、相互の正しい認識のもとで採用することが必要です。

外国人人材=安い労働力ではない

日本で働く外国人人材の多くが、中国や東南アジア、南アジアなど、日本より所得水準の低い国から来ています。そのため、外国人人材を雇えば人件費を圧縮できると考えている人もいるかもしれません。

最低賃金は外国人にも適用されます。労働基準法第3条は、労働条件面での国籍による差別を定めており、外国人だからといって賃金を抑制することは許されません。しかし、一般財団法人国際建設技能振興機構によると、2017年度に同機構の立ち入り調査を受けた建設業者518社のうち、約4割にあたる204社で、賃金問題があったそうです。

また、人材サービス大手パーソルグループ傘下、パーソル総合研究所の調査では、外国人社員のいる日本企業の約2割で外国人正社員の給与のほうが低く、平均で4.6万円の差があるというデータもあります。ただしこれは、いまだに年功序列型の賃金運用をしている日本企業が多いことから、長く勤めている日本人の給与が高くなるという理由もあるようです。

諸外国では、同じ労働をしている人は同じ賃金を受け取るという「同一労働同一賃金」の考え方が基本です。特に、多国籍企業では賃金ベースはグローバル基準で定められています。技能職や高学歴のホワイトカラー人材でいえば、日本の賃金はすでにアジアでも見劣りするレベルとなりつつあるのです。高度人材は、多言語・専門知識に長けており、世界をまたにかけて転職するケースもあります。一般の日本人よりも高い賃金を支払わなければ、すぐに転職されてしまうかもしれません。

また、そこそこのスキルでも通用する職種の場合、給与の額面でいえば外国人のほうが安く雇えるかもしれません。しかし、彼らの住む家や食事を提供し、福利厚生も面倒をみるとなると、会社側の負担は相当なものです。さらに、多言語のマニュアルを作成したり、日本人社員との文化の違いからくる軋轢(あつれき)をまとめて組織を育てたりといったコストもかかります。

外国人を雇えば人件費を抑えられるという考え方からは脱却すべきでしょう。

人手不足の対策として外国人採用を検討するなら

日本人の若手を採用しにくい昨今、ITや製造、インバウンド事業などで外国人を採用してその穴を埋めようという企業も増えています。ただし、コストや人材不足だけを理由に外国人を雇おうとすると失敗する見込みが大きくなります。考えるべきは、国籍に関わらず適切なパフォーマンスを引き出すという点を重視することです。人手不足を補う大切な人材として目をかけていきましょう。

 


参考:

Ø  https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html#annual

Ø  https://www.fnn.jp/posts/00417090HDK

 

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