就業規則やビザ…外国人採用にあたって確認・注意すべき点とは

就業規則やビザ…外国人採用にあたって確認・注意すべき点とは

グローバル化が進むなか、新たに外国人社員を採用する企業が増えています。外国人スタッフを戦力として迎えるには、就労ビザの取得をはじめ日本人社員とは異なる手続きが必要です。文化の異なる彼らには独自のビジネス習慣もあり、これまで職場では慣例となっていたことが通じないことも。今回は、厚生労働省のウエブサイトで掲示されている外国人の雇用ルールにもとづき、初めて外国人社員を迎える企業向けに、注意点をまとめます。

ファーストステップは就労ビザの取得

まずは、就労可能な外国人を雇用することからはじまります。

外国人が日本で働くには、基本的に就労ビザの取得が必須です。ただし、在留資格によっては就労が認められている場合があります。2018年10月末時点で、日本で就労する外国人のカテゴリーと人数は以下のとおりです。

在留資格のカテゴリー

職種など

人数

専門的・技術的分野

大学教授、高度専門職、管理・経営、法律会計業務、医療、介護、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、技能(調理師、スポーツ指導者、パイロット、職人など)といった専門職で働く外国人

約27万7,000人

身分に基づき在留する者

「定住者」(主に日系人)、「永住者」、「日本人の配偶者等」など。これらの資格を持つ人は、在留中の活動に制限がありません。

約49万6,000人

技能実習 

途上国への技能移転と人材育成を目的とする技能実習生

約30万8,000人

特定活動

ワーキングホリデーやEPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者など

約3万6,000人

資格外活動(留学生のアルバイト等)

本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内で就労が認められた人

約34万4,000人

 

留学生のアルバイトの場合は資格外活動許可を得る必要があります。また、上述のとおり本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内での労働のみが認められるため、原則労働時間は1週間に28時間以内に制限されます。

また、留学生を新卒採用する場合は、留学生から専門的・技術的分野などの在留資格に変更する必要があります。ただし、仕事内容によってはビザの要件に合わないことがあるので注意が必要です。例えば、コンビニエンスストアのアルバイトをしていた留学生を、卒業後に現場社員として採用したいケースです。

コンビニエンストアで働く外国人を社員として長期雇用する場合、「技術・人文知識・国際業務」など専門・技術的分野の在留資格での採用となります。しかし、内勤や複数の店舗を統括するスーパーバイザーではない店舗の現場社員が、この在留資格の要件を満たすと認められるかは難しいとされているのです。

上記に加えて、2019年4月からは新たな在留資格として、「特定技能」が新設されました。ただし、特定技能の在留資格が認められるのは以下の14業種のみです。

Ø  介護

Ø  ビルクリーニング

Ø  農業

Ø  漁業

Ø  食料品製造業

Ø  外食業

Ø  素形材産業

Ø  産業機械産業

Ø  電気・電子情報関連産業

Ø  建設業

Ø  造船・船舶工業

Ø  自動車整備業

Ø  航空業

Ø  宿泊業

特定技能の在留資格は、更新期間が通算で上限5年までと定められています。長く働いてもらいたいと考えるならば、別のビザを検討したほうが良いかもしれません。

外国人雇用で必要な書類

在留資格の申請は、出入国在留管理庁に届け出ます。申請する在留資格別に必要書類が異なります。

全資格において必要なのは以下の2種です。

Ø  申請書 その1,その2,その3(商用・就職および勉学のみ)

Ø  写真(縦40㎜,横30㎜)2枚

例えば、外国人を在留資格「人文知識・国際業務」や「技術」で採用する場合は以下の書類が必要です。

Ø  招へい機関の商業・法人登記簿謄本および損益計算書の写し

Ø  招へい機関の事業内容を明らかにする資料

Ø  卒業証明書又は活動に係る科目を専攻した期間に係る証明書及び職歴を証する文書

Ø  活動の内容,期間,地位および報酬を証する文書

外国人の採用時と離職の際は、労働施策総合推進法もとづき、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」が必要です。直接届け出に出向くほか、インターネットでの届け出も可能です。

外国人社員の賃金はどうする

労働基準法第3条は、労働条件面での国籍による差別を定めており、国籍を理由に賃金を差別してはいけません。また、最低賃金は外国人にも適用されることをきちんと把握しましょう。

多言語や専門知識を身につけた高度人材は、グローバル化のなか、世界中でひっぱりだこの状態です。日本が好きで日本で働きたいという人もいますが、母国より給与が高いからという理由で働いていることもあります。

日本のホワイトカラーの賃金は平成のデフレ不況のなかで抑制され、成長著しい東南アジアの新興国と比べても見劣りする水準になりつつあります。日本語というマイナー言語の壁や賃金水準を考えると、言語や能力に長けた優秀な人材には、グローバル基準での賃金を提示しないと、国外へ転職してしまう可能性もあります。欧米やシンガポールなら賃金水準が日本より高く、能力を生かして英語圏や中国語圏で生活できるからです。

就業規則は整備していますか

労働施策総合推進法第7条では、「雇用する外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職場に適応することを容易にするための措置の実施その他の雇用管理改善を図るとともに、解雇等で離職する場合の再就職援助に努めるべき」と定められています。

外国人の雇用手続きからは少しそれますが、職場のダイバシティー化(多様化)を進めるには、複数の人が働く職場であれば、人数に関係なく「職場のルール」は必要でしょう。特に、海外では日本よりも権利意識が強い人がよく見られます。文化的背景の違う国で育ち、日本の職場環境にほとんどなじみのない外国人が一緒に働くのであれば、職場環境の整備とルールの制定が必要です。

労働基準法では「常時10人以上の従業員を使用している事業場」に対して就業規則の作成が義務付けられています。なお、外国人が働いている場合でも、就業規則は日本語で問題ありません。ただし、日本語で作成した場合、外国人社員が理解できるよう周知が必要です。

以下、就業規則を作成する場合のポイントです。

1. 「賃金」と「解雇」は絶対に記載

特にもめやすい「賃金」と「解雇」については条件を明文化しましょう。その場合、日本人の論理を優先するのではなく、文化的背景の違う国で育った外国人にとっても「合理的」と感じられる内容かどうかに留意しましょう。

2. 就業規則を作成・変更するには労働者側の意見聴取が必要

就業規則を作成・変更する場合には、労働者側の「過半数代表者」の意見を聞き、意見書をともに労働基準監督署に提出する必要があります。これは日本人だけの職場も同じです。

パートタイム労働者やアルバイトも労働者に含まれます。従業員の過半数が加入している労働組合がある場合は、組合の意見を聞くことになります。組合がない場合は代表者を別途選出することになりますが、会社側が一方的に指名したり、一定の役職者を自動選出したりといった方法は認められません。

外国人が働きやすい職場は日本人も働きやすい

少子高齢化で労働人口が減少を続ける現在、外国人に限らず、子育てや介護といった家庭の事情を抱える人や障がい者など、さまざまな人が職場で活躍していかなくてはいけません。多様性(ダイバシティー)への対応が求められていますが、外国人のようなマイノリティーが働きやすい職場は、日本人にとっても働きやすい職場といえるでしょう。すべての人が活躍できる職場には活気が生まれます。就業環境を整備することで、外国人だけでなく誰もが働きやすい職場をめざしましょう。


参考:

Ø  厚生労働省|外国人の雇用

Ø  厚生労働省|日本で就労する外国人のカテゴリー(総数 約146.0万人の内訳)

Ø  JITCO「在留資格「特定技能」とは」