介護業界における外国人採用の現状やメリット・デメリット

ほぼすべての業種で人手不足が加速するなか、深刻な状況に悩まされているのが介護業界です。

現時点ですでに人手不足問題が顕在化しているうえ、今後は少子高齢化が進行する見込みで、対策を講じなければさらに状況が深刻化することが目に見えています。

このような状況の打開策のひとつが、外国人採用です。今回は、介護業界における外国人採用の4つの制度と現状について説明し、外国人を採用するメリット・デメリットや事例を紹介します。外国人の採用を検討している企業の担当者はぜひ参考にしてください。

介護業界における外国人採用の4つの制度と現状

はじめに、介護業界における外国人採用の4つの制度と、2020年現在の外国人採用の状況を厚生労働省の資料にもとづいて解説します。

介護業界で外国人を雇用できる4つの制度

外国人採用は無条件に認められているわけではありません。2020年現在、日本の介護業界で認められている4つの外国人採用制度を紹介します。

  • EPAに基づく外国人介護福祉士候補者の雇用

EPA(経済連携協定)は、日本と相手国との経済活動の連携強化を目的とした制度です。介護の雇用に関しては、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国からの外国人受け入れが可能です。雇用の時点で資格は必要ではありませんが、介護福祉士の資格取得を目的としており、介護や看護に関する一定の知識・経験が必要とされています。また、一定の日本語能力が必要で、インドネシア・フィリピンは日本語能力試験(JLPT)のN5程度以上、ベトナムはN3以上が目安です。

  • 「介護」の在留資格を持つ外国人の雇用

「介護」の在留資格を持つ外国人は、専門人材として雇用することが可能です。「介護」の在留資格は、本人が望む限り更新できるため、永続的に更新できます。「介護」資格を取得するための養成校への入学要件の目安として、N2以上の日本語能力が求められます。

  • 技能実習生の雇用

諸外国に先がけて高齢社会を迎えている日本では、介護に関する技術移転の目的で技能実習生として外国人を雇用できます。日本語能力はN4程度が必要要件です。

  • 在留資格「特定技能1号」を持つ外国人の雇用

特定技能1号は、人手不足解消のために専門性を持った外国人を雇用できる制度です。

介護業界における外国人採用の現状

介護業界では、外国人の雇用人数が増加しています。具体例として、2008年度にスタートしたEPAに基づく介護福祉士候補者の人数を見てみましょう。

厚生労働省が発表している「EPAに基づく介護福祉士候補者の受入れ実人数の推移」によると、受入れ人数は年々増加しており、2018年度までに累計4,302名が介護業界に採用されました。また、介護福祉士の資格取得をするために日本の介護福祉士養成校に留学生として入学する外国人も増加しており、2018年度は1,142名の外国人が入学しています。

また、技能実習生や特定技能1号の制度が整備されたことで外国人採用の幅が広がりました。今後ますます介護業界では、外国人の活躍が期待されています。

介護業界における外国人採用のメリット・デメリット

介護業界での外国人採用のメリット・デメリットについて解説します。

ただし、それぞれの企業や団体によってどんな点がメリット・デメリットになるかは異なります。自社の現状と照らし合わせながら検討することが重要です。

外国人採用のメリット

外国人採用のメリットは以下の3点があります。

  • 人手不足が解消できる

介護業界は、日本国内でも特に人手不足が強く叫ばれている業界のひとつです。

日本で働きたい外国人を雇用することで、人手不足を解消することができます。

  • 制度の選び方によって、長期間雇用が可能

本人さえ望めば永続的な雇用が可能な「介護」の在留資格のように、制度によっては長期雇用が可能です。

  • 介護業界での外国人受け入れは基準が厳しいため、高レベル人材を雇用できる

サービス利用者の生命や安全に大きく関わる介護業界では、独自の要件を設定して他業種に比べて外国人受け入れ基準を厳しくしています。そのため、技能や日本語能力が高レベルな人材を雇用することができます。

外国人採用のデメリット

外国人採用のデメリットは以下の3点が考えられます。

  • 生活面の支援が必要

外国人を雇用するには、住居や住居から職場までの交通など、生活面のサポートが必要です。外国人のサポートは管理職者が担当することが一般的ですが、管理職者の業務負担が重くなる可能性があります。

  • 「安い労働力」と誤解されているケースが多い

外国人は「安い労働力」と誤解されがちですが、日本人と同等の給与水準での雇用が必要です。むしろ、生活面のサポートのためにかかる費用を踏まえると、短期的にはコストがかかるケースもあります。

  • コミュニケーションや設備面など、企業側に受け入れの準備が必要

日本人スタッフとの円滑なコミュニケーションやトイレ・マニュアルの準備など、企業として外国人を受け入れるための準備が必要です。

介護業界での外国人採用の事例

介護業界での外国人採用の事例について紹介します。

EPAを利用した外国人採用の事例

EPAを利用して外国人採用をした特別養護老人ホームの例です。ポイントは、ルールを明確化し、サポートを強化したことといえます。

  • 受け入れ前の準備

全職員に対して、イスラム教徒に対する理解に関する研修を実施。同時に、外国人職員に対しては、礼拝を休憩中にするように指示し、業務上のルールを指導。

  • 生活支援

本社と施設にひとりずつ、外国人職員のための生活支援担当者を配備し、生活のサポートを実施。ホームシック、日本での金銭感覚、病院への通院手続き、上司にしづらい質問など、あらゆる点をサポート。

留学生を活用した外国人採用事例

留学人を活用した外国人採用の例としては、外国人留学生を人手不足の介護業界で雇用できる仕組みを整備している企業が増えています。

「外国人労働者を活用するうえで企業担当者が押さえておきたいニュース3選」の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

複数の技能実習生や留学生を活用している事例

複数の技能実習生と留学生を同時に受け入れている介護施設もあります。

英語の話せる専任のコーディネーターを配備し、日常の困ったことをサポートしながら、日本語で簡単に理解できる内容の作業から一つひとつ研修を進める形式をとっています。1年もすると頼りになる人材に成長し、既存の日本人スタッフにも良い刺激を与えているということです。

まとめ

介護業界において、外国人採用が可能な制度は以下の4つです。

  • EPAに基づく外国人介護福祉士候補者の雇用
  • 在留資格「介護」を持つ外国人の雇用
  • 技能実習生の雇用
  • 在留資格「特定技能1号」を持つ外国人の雇用

4つの制度にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、自社に合った制度を選択することが重要です。紹介した事例もぜひ参考にしてください。

 

参考:

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